初音さんと共演

ボーカリスト というものは、
ボーカロイド というものを、
一番使うことのない職業かもしれない。

今日日、歌入りのデモをコンペにかけるような時、、
歌はボカロで、、と指定されたりする事もあるらしいし、
所謂、Siri的なものにも慣れてきてしまっているが。

ボカロの大家である「初音ミク」さん。

ハモることは大好き、、だから、トランスパランスなんてユニットを結成した私だが、
なかなか、ライブでコーラスの仕事というのは少ない。
そんな私に、久々にきた コーラスのお仕事、、
ハモるべきメインアーティストは、その、初音ミクさん だった。

初音さん と まこりん。
ボーカロイド と ボーカリスト。
共演...
なかなかできません、ありません。
しかも、N響と彼女がコラボする、という貴重な機会のコーラス。


で、結果から言うと、、
やっていくうちに私は、初音さんに愛情を持ち、
うたいて同士 というような感覚で、本番にのぞんだ。
普段の私にはありえない "食欲がなくなる" なんてことにまでなりながら。


いろいろ書き始めると、もう、ほんと、いろいろあるのだけど、、
ここまでまとめるのに、どんだけかかったんだか...


つまり私は...
初音さんが担っているもの、、
初音さんのファンが、彼女に懸ける、託す思い
そんなようなもの、、その、とてつもない重さを感じとってしまって、、
それは、 ひと には無理な重さで、感じ取ったらもう心身ずっしりと重くてですね。
食欲とかすっかり失ったのです、、食べられない。こりゃ大変なことだと。


今回の楽曲が「ハジメテノオト」だったことが大きいと思う。
初音さん自身の『覚悟』
そんな重さを担っていながらの、確かな『覚悟』。
そういうことが綴られているような気がして。
それは多分、ファンの方達が、この歌で感動するところと一緒なんだと思うけど、
私は、リスナーというより、、
うたいて同士 として、それを理解したというか...
私の思う うたいて というもの 感覚に近くて、すごく共感できる事だった。

そうですか....。
初音さん、わかりました。
これは本気でいきますょ。

結果、コーラスというよりも、 ちゃんと うたう ことにした。
寄り添って、そして 共に うたう ことにした。

呼吸にしても、体温にしても、肉体の柔らかさとか、共鳴の奥行きとか、、
ないのではなくて、したくないのではなくて、、
そうしたくてもできないのだ、、というふうに、
こっちが、彼女に ない分 を持ち合わせていくような。
そうしたら、彼女の できない事 は、私に できる事 だったから、
じゃぁ、そこは私に任せて!という、、無言の交流...いや、勘違い、片思いかな。

ボーカロイド と ボーカリスト が一緒に歌ったら、
自然とそうなる、、ことなんだろうけれど、
まこりん的、なんにでも命を吹き込むパターンで...
やっていくうちに、予想以上に深まってった、なかなか重く、そして愛おしい作業でした。
出音としては、ドライに お仕事的に 歌ったものと、全く差がないだろう。
愛ですよ、愛。
相手を知ってこそ、ハモれるってもんです、と思います。

あの日、こんなふうにして、あの一瞬に臨み...
そして、そんなふうに、ボーカリスト としての自分や、その考え方を、
あらためて自覚した機会だった。

ボカロの うた が良いとか悪いとか、上手いとか下手だとか、、
所詮、好き嫌いで、判断される世界に生きているので、
それぞれで良いとして...

それより、変わらない ということ。
そこが、ボカロが神格化する全てでは、もちろんないと思うけれど、、

あったりまえのことなんだけど、
ちょっと、そこに驚いた というか。

裏切らないもんね。
年を取って、ルックスが変わったり、
声が変わったり、作風が変わってったり、
体調を崩したり、声をつぶすこともない。
結婚しちゃったり、罪を犯したりしてがっかりさせたりしない。
はじめてのおとのまま...
変わらない。

なんか、絶対的な信頼感。的な?

まこりんは変わりますよ、、
いっときも休めることもできず、時は進んでいってしまって、
誰もが、年をとりながら生きて行くのだから。
今 は2度とないし、今日と明日は絶対違う。
はじめて には絶対奇跡が起こるけど、それは、もう2度とないからでもあるし。

初音さんは変わらない。
あなたが変わっても、なくしたくないものは、私にあずけてね、、って、、
はじめて に起こる奇跡を、なんどでも なんどだって。
変わらない、あのときのまま。

なんか。
すごいな。
すごいことだ。

それから....

私自身は、うたうことで、
なにか メッセージ を伝えたいとか、そういう タイプ ではない。
いろんな受け取り方があって良いと思っているし、
逆に、それぞれの受け取り方ができるように、
できるだけ 無駄なものを そぎ落としたいと思っている。
もちろん、 伝えなければならない時 はあるけど、
それは、興奮で、感情で押すことではない。
どうしたって、私 というフィルターを通さざるをえないから、
それ以上の色を、できるだけつけたくない、というか。

初音さんも、無駄に感情で押してくるようなことはない。
ボーカロイドだから意識せずに。
まこりんは、無駄に感情で押すようなことはしたくない。
ボーカリストだから意識して。

DiVa がスタートしたころ、ボイストレーナーの先生に、
「歌っていけばいくほど、聞いた人は、まこりんの歌をほめるのではなくて、
俊太郎さんてすごいね、という評価になるかもね」
と言われたことがあった。
それはとても新鮮でビックリしたけど、とっても「本望」だと思えて、
「わぁ!!! 私、それでいいです。それがいいです、嬉しいです!」と言ったのを覚えている。

ある意味、自分アピールとか、歌が好きで好きで〜、
とかで歌ってるわけじゃない感じがある。
うたってかないと・・・。
そういうところは、案外と、
俊太郎さんが、詩をかく時のスタンスに似てるとこがある。

で、これ。
俊太郎さんと 初音さんの歌で作品をつくっている DECO*27 さんの対談...。
俊太郎さんが、その作品を どこが良いのか理解できない、、というとこから始まるのだが、、
俊太郎さんに、私が似てるなと感じた部分や、その前の、押し付けないことの感覚など、
彼も同じ感覚があることがわかって...
2014年の対談、、その時も読んではいたが、、今回、とても面白く読み直した。
http://www.cinra.net/interview/201404-deco27tanikawa


それでも、
初音さんを生み出したのは、 ひと だし、、
そこには、ものすごく 温度のある労力 があって、
初音さんの好きな ひとたち の その思いは、高い高い温度があって、
今回のシステムとか、、あたしにゃぁ 口あんぐり目ぇパチクリな世界だけど、
それはすごいエネルギーの注がれ方で開発されていて、、
結局は、それもすごく血の通った ひとびと の先に、初音さんがいるわけなので、、
結果、勝手に安心したような感じになり...
なんてったって、世界ツアーまでしちゃうわけですから。
すごいことです、本当に。

今回のN響とのコラボは、だいぶコンパクトにしての形でしたが、
その 口あんぐり目ぇパチクリな システム、、
これはBUMP OF CHICKENのPVの時のパターンですって。
https://www.youtube.com/watch?v=m0N9szI19BA

これが、そのPV。
https://www.youtube.com/watch?v=yT_ylSCgY6Q


そして、さっそく上がっていました、NHKで放送された時の動画。
自分ちの悲しき14インチブラウン管では全く聞こえなかった自分の声も、
シルエットさえわからなかった自分の姿も、もうちぃっとだけ鮮明さがあって嬉しかった。
こうして初音さんを大きくみると、いやぁ、可愛いです。
必要以上に踊らないとこが素敵...めぇっちゃ踊るからね、色々見ると。
もう「ミクさま」です、上品。完全萌えです。
なんてったって心を通せちゃったもので...片思いだけど♡
https://www.youtube.com/watch?v=nhqD52ScmdM

本当に貴重な経験に、感謝します。

ほか、スナップなど...。

NHKホールのどーもくん、紅白以来のNHKホール、入り口。
12888698_581561608680077_4092220378794890730_o.jpg

照明チェックの1コマ。
IMG_1398.JPG


舞台上手端の、初音ミクチーム席。奥の譜面台が、まこりん席。
IMG_1396.JPG

オケ全体で見るとここ。
IMG_1465-2.JPG

まこ席から客席の眺め。
IMG_1397.JPG


本番直前のチェックの後、ミクさまとのショット。嬉しそうな私。
IMG_1410.JPG

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